第189回 免疫抑制剤の落とし穴?

どうしても人間は新しいほうへ関心が行きがちなものですが、新しい薬の場合には効き目だけでなく副作用のほうにも特に気を配らなければならない必要があります。何故なら、副作用でもすぐに現れる場合と
長期間してから出現してくる場合とがあるからです。

プロトピックという免疫抑制剤を応用した軟膏のことを前回にもこのコラムで書きましたが、この軟膏の成分であるタクロリムスは、臓器移植の拒絶反応を抑えるすぐれた働きを持つ薬として海外でも有名です。

通常、臓器移植は生命に関わる重大な病気でやむを得ず行なわれることが多く、生命に危険な拒絶反応を抑えるために強い免疫抑制の効果があるこの薬が投与されますが、長期連用の副作用としてガンの発生率が高くなるなどの問題点がやはりどうしても存在してきます。

もちろん、内服薬や注射剤と比べて外用薬の場合には副作用の心配も少なくて済むはずですが、日本でも昨年の10月に、プロトピックを3年余り塗り続けていた16歳の女性に悪性リンパ腫が発見されたという記事が新聞にも取り上げられておりました。また、子供は大人に比べて新陳代謝が盛んで発ガンの危険性も増すため、より慎重な検討が必要であるという意見もあります。

アトピー性皮膚炎の患者さんにとってこの薬は非常に効果があるということですが、使う側にも正確な専門知識と的確な判断が要求される薬でもあります。そのため、プロトピック軟膏の使用には、「医師によるインフォームド・コンセントの徹底」(発癌性に関する情報を患者に提供する)・「投薬記録を患者に手渡す」(小児用プロトピック軟膏のみ)などの注意事項が特に義務づけられております。

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