ステロイドの軟膏を使うことが嫌で、中医学的な方法を求めて私のところに来られるアトピーの患者さんはたくさんおられます。私も出来るだけステロイドの軟膏を使うことは控えたほうがよいとは思いますが、どうしても使用しなければならない方には逆に使用をすすめる場合もあります。

なぜ、ステロイドを使うことに患者さんがそんなに抵抗を感じるのかというと、ステロイドに対しての正しい知識を持っておられないために、周囲のいい加減な情報に振り回されてしまっていることがまず挙げられます。

また、ステロイドの使い方を間違えて引き起こした症状を、ステロイドの副作用にしてしまう「問題のすり替え」にも原因があります。

具体的にいえば、ステロイドの軟膏を塗り続けて効かなくなってくると、どんどん作用の強いものを副作用が発現してくるまで使用して、「ステロイドは怖いものなんだ」というような話になってしまっているということです。

ステロイドの使用をいかに少なく抑えるかということをまったく考えずに漠然と使い続けたために引き起こされた医原病とでもいうべき症状を、「ステロイドの副作用」という一言で片づけてしまうことには大きな問題があります。

大して議論もせずにこうした問題を放置しておいて、ステロイドの代わりに「免疫抑制剤の軟膏」を使うという、さらに危険に思える選択をしてしまっている日本の現状は将来に禍根を残す気がしてなりません。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら