中医学では、私たちの身体は「気・血・水」の3つの基本的な要素から構成されているものと考えられています。

簡単に説明すれば、気は体内の生理的機能を動かすエネルギーとして、血と水は人体を構成する物質的な要素として捉えられています。西洋医学でいえば、血は血液に、水は体液やリンパ液などに相当するもので、気のエネルギーを推進力にして体内を循環しているということです。

中医学では、気は陽気 、血と水は陰液ともいわれ、陽気と陰液を合わせたものは「正気(せいき)」と呼ばれています。正気は自然治癒力の基礎を形成している重要な要素で、病気の原因となる「邪気(じゃき)」に対抗する人体の抵抗力や生命力を示す概念です。

通常の場合、気・血・水は過不足なく体内を円滑に循環して、身体を正常な状態に保っています。そして、気・血・水のバランスと循環が良好な状態にあれば、身体の新陳代謝・生体防御力・復元力も十分に働けるため、細菌やウィルス、病気、ケガなどに対して抵抗することが出来ます。

つまり、自然治癒力を高めるために、気・血・水の量のバランスと循環を良好な状態に保つことは中医学的に必要な条件となるのです。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら