食べ物を消化吸収して身体全体に分配するという脾の働きは、私たちの身体の筋肉を作るうえでも決して欠かすことの出来ない重要な作用の1つです。ですから脾の働きが弱まると、食欲不振・消化不良・下痢などのほかに、力が出ない・手足が痩せてくる・便意が頻繁に起きる・胃下垂・脱肛・流産などの筋肉の弱りに関連した症状がいろいろと出てくる場合があります。
特にこれらの症状は、お産の後や下痢や病気などが続いて精神的または肉体的な疲労が溜まった状態で起こることが多く、中医学では脾の気力の衰えで内臓を引っ張っている筋肉が弱ってしまったことが原因とされています。
また、なぜ脾気が衰えると筋肉が弱ってしまうのかといいますと、胃腸の消化吸収の働きが悪ければ、体内で良質のタンパク質を作ることは出来ません。ですから例えば、筋無力症や慢性疲労症候群などの現代医学の難病も、中医学では脾を丈夫にすれば症状がよくなる可能性があると考えられています。
※この頃、テレビや雑誌などではアミノ酸が大きなブームになっているようですが、通常の食生活をしていればアミノ酸が不足することはまずありません。 何故なら、私たち人間は肉・玉子・牛乳・豆腐・米などに含まれる タンパク質を消化吸収分解して、身体に必要なアミノ酸をいろいろと合成することができるからです。逆に、特定のアミノ酸ばかり高濃度に配合されているサプリメントを取り続けていると、アミノ酸全体のバランスを崩してしまい身体を悪くしてしまう恐れが多分にあります。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371
◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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