第110回 生命のロウソク、灯すには?

人間は年を取ってくると
全身の血管の動脈硬化が進み
血液の流れがだんだんと悪くなってきて
寒がりになるというふうに思われていますが、
中医学的には
年を取って腎が衰えることも
体温が低くなる原因とされています。

というのは、腎には
「命門の火」とよばれる
生命のロウソクのようなものがあり、
年を取って腎が衰えてくると
それらも弱って体温を維持できなくなると
考えられているからです。

命門の火を燃え上がらせる
漢方薬として有名なものには
「鹿茸(ろくじょう)」というものがありますが、
これは雄ジカの幼角を乾燥したものです。

鹿茸は、中国の
古い薬物書である本草綱目にも
「精を生じ、髄を補い、血を養い、陽を益し、
  筋を強くし、骨を健やかにし、一切の虚損、
  耳聾、目暗、眩暈、虚痢を治す」
といった効能があると記載されており、
インポテンツなどの強壮剤としてもよく使われます。
ただし、血圧の高い人や
元気のあり過ぎる人が服用すると、
血圧が上がったり、のぼせたりして、
大変なことになってしまう恐れがありますから、
そういう人は服用してはいけません。

また、クマなどが冬眠するときに
木の実など栄養の豊富な食べ物のほかに
塩辛いものをたっぷりと取るという話がありますが、
その理由は塩分が足りないと
冬眠しているときに体温が下がり過ぎてしまい
死んでしまうからだそうです。
何だか、このことも
腎・体温・塩辛い味の
中医学的な関係を表している感じがしますね。

※命門は左右の腎臓を結ぶ線と
  背骨が交差する位置にある重要なツボで、
  生命に通じる門という意味があります。
  ですから、年を取って
  身体が弱ったり冷えたりして困ったら、
  そこのツボを温灸やカイロなどで温めて
  生命の門を広げてやると
  元気が回復してくることがあります。

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