第108回 磁石は、耳鳴りの特効薬か?

中国で腎を丈夫にする漢方薬は
補腎薬といわれ
六味丸という処方が有名ですが、
日本でよく使われる八味丸もこの仲間です。

しかし、八味丸は
体力が低下している
寒がりの人向けの処方なので、
元気な人や暑がりのひとに飲ませると
のぼせたり心臓の動悸がひどくなったりして
かえって身体の調子が悪くなったりします。

日本では、
効能や効果の部分だけを見て
漢方薬を選ぶひとがよくおられますが、
体質や身体の状態も考慮して選ばなければ
いくら良い漢方薬でも逆効果になる場合があります。

腎によい漢方薬を選ぶポイントを
簡単に説明してみますと、

●寒がりで冷えがある場合
   (温かい飲みものや食べものを好む傾向がある)
   ・・・八味丸、海馬補腎丸、至宝三鞭丸など

●暑がりで身体にのぼせやほてりがある場合
   (冷たい飲みものや食べものを好む傾向がある)
   ・・・杞菊地黄丸、知柏地黄丸など

●寒がりでも暑がりでもない場合
   ・・・六味丸など

●長引く病気の場合や健康維持が目的の場合
   ・・・瓊玉膏(昔、仙人が飲んだといわれる漢方薬)、
   紫河車(人間の胎盤)など

ということになります。

また、耳鳴りや難聴がひどいときには、
磁石と柴胡という生薬を
六味丸に加えて使うことがありますが、
それは中医学では
磁石には神経を安定させる働きがあるとされ、
耳の神経の異常な興奮を鎮めてやれば
耳鳴りや難聴は軽くなるというふうに考えてのことです。
この漢方薬は
「耳鳴丸(じめいがん)」という名前で、
柴胡は鎮静作用や
神経の緊張を緩和する目的で加えられています。

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