老人性の痴呆症は、脳血管性とアルツハイマー型の二つに大きく大別されます。

前者は脳梗塞などで脳内の血流が悪化してその周りの脳細胞が死んでしまうことが原因とされ、後者は脳の萎縮や脳内のβアミロイドというタンパク質の分解酵素の活性低下が主な原因と考えられています。

しかし最近では、アルツハイマーの場合にも脳の血流の低下が関係しているのではないかというようなこともいわれ始めています。また現在、痴呆症に効く特効薬はないということですが、その理由は脳細胞に再生能力が無いためです。ですから、もし何らかの原因で脳細胞が壊れてしまった場合には、残った脳細胞はその分まで働かなくてはならず、負担も意外と大きいものになってきます。

西洋医学では、それを助けるために、

◎脳細胞の働きをよくする
◎脳内の血液の流れをよくする
◎脳の神経細胞間の情報伝達物質の作用を助ける

・・・などの作用を持つ薬を使いますが、効果が見られるのは軽度から中程度の人で、症状の進んでしまっている方々には今のところ効果はそれほど期待出来ません。ですから、初期の症状を見逃さないで、出来るだけ早く治療を受けることが重要なのです。

(注意)甲状腺の病気や腎不全などで痴呆によく似た症状が出現したり、うつ病・パーキンソン病・ガンなどの薬や解熱鎮痛剤の副作用から急に痴呆の症状が現れたりする場合もあります。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

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