第135回 痴呆症、中医学では?

中医学では、痴呆症の治療には脳内の血液の流れを改善することが基本的に必要であると考えられています。しかし、そのほかにも、気の弱りや腎の弱りが関係していたり、心の熱や「痰(たん)」という病理的な水分というべきものが大きな影響を与えている場合もあり、痴呆症の病態は思いのほか複雑なものです。

痰は、中医学独特の概念で、ノドに絡むタンのようなものから体内の水分がネバネバした状態になって血液や気の流れを悪くしているものまで、すべてを指しています。

例えば、中医学では、心は循環器系の働きだけでなく精神神経系の中枢としての働きも持っていますが、痰が心の働きを阻害するようになると、うつ状態・独り言・無表情・突然泣き出す・よだれを垂らす・手足のしびれや震えなどの痴呆症や脳梗塞を思わせる症状が出現してきます。

ですから、痴呆症やパーキンソン病などの脳の神経障害でこうした症状が見られる場合には、中医学では紅花・丹参(たんじん サルビアの仲間)などの脳の血流を改善する作用のある生薬と化痰薬(けたんやく)という痰を取り除く薬を併用します。

また、化痰薬としては温胆湯という漢方薬が有名なのですが、痰は熱が原因で生じていることが多いため、実際には、熱と痰の両方を取り除く働きがある黄連温胆湯という形にして用いることがほとんどです。現在、中国の研究によれば、黄連温胆湯はいろいろな痴呆症に用いられて、一定の効果を上げているという話です。

サブコンテンツ
メニュー